1928年、ジョージア州サバンナ。
天才ゴルファーとして将来を嘱望されていたラナルフ・ジュナは、戦場での悲痛な体験のため、自堕落な生活を過ごしていた。
そんなとき突然現れたキャディー、バガー・ヴァンス・・・彼はジュナに“失っていたスイング”を取り戻させる……。

酒に溺れる自堕落な日々を送っていたジュナの言葉; 「酒を一杯飲むたびに脳細胞が1000個ずつ死んでいく。最初に死ぬのは悲しみの細胞。バカみたいに陽気になる。次にバカの細胞が死んで、急に真面目なことを言い出す。でも、なかなか死なない細胞がある。それは記憶の細胞だ」

そこへ、名ゴルファーとの対決の話がもちあがります。そして、バガー・ヴァンスと名乗る謎の男がジュナのキャディーを申し出てきます……。

人は誰も、自分が本来持っているスイングを見失いがちです。迷路に陥ったジュナは、試合を重ねながら、トラウマを徐々に克服し自分自身を取戻していきます。ところで、バガー・ヴァンスとは、いったい何者でしょうか? 

バガーヴァンス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話変わって、私はゴルフを致しません。
正確に言えば、始めて直に止めました。私の場合、ゴルフこそが、悲痛な体験として心に刻まれたからです。

医者に成り立てのころ、先輩たちに誘われて、打ちっぱなし場での練習もそこそこに、グリーンに躍り出ることになりました。

午前中、インを廻り始めましたが、この日、出会ったキャディーさん(女性)が物凄く厳しいのです。
(もたもたしないでさっさと)「打ちなさい!」
(ぼやぼやしないで)「ボールを拾いに行きなさい!」

4人のグループの中、断トツ下手くそなので、おちおちスイングしている暇もないほど、球拾いに追われました。ゲームの足を引っ張らないように、駆けずり回りました。

ランチを摂って再び嫌々グリーンに行くと、幸いなことに、怖いキャディーさんと交代して、笑顔を湛えた新キャディーさんが現れたのです。

プレーを急かされることも決してなく、親しげに話しかけてくれます。

「ゴルフを始めてどのくらい? へえー、未だ数ヶ月くらいなの。だったら、いい筋してるわよ」と励ましてくれます。

ドライバーを振り回しても、「ヘッドがぶれてない、いい調子」。
実は、飛ばしたボールよりも、前日買ったばかりのティーがどこに行ったか気になって、手元ばかり見ていた結果ですが・・・。

ティー

 

 

 

 

 

 

 

 

昼下がり空も晴れ渡り、漸く景色を眺める余裕が出てきました。
心も打ち解けて、「ありがとうございます。実は、午前中は厳しいキャディーさんに当たっちゃって大変だったのですが、優しいキャディーさんに代わって頂いて、ほっとしています」

コース

突然、ゴルフ仲間のドクターたちが、わっと私を取り囲んで、口々に囁いたことを覚えています。「何を言い出すんだ! 午前中と、同じキャディーだよ」「お化粧し直して、暑くなったから着替えて来たんだよ!」

全てが解明されました。
午前中は、密なスケジュールでしたが、前日から泊りでプレーしていた前後の組が帰ったため、大幅なゆとりが出来たのです。

今、会社を経営する立場になると、あのときのキャディーさんの営業マインドにも納得できるのですが、衝撃は癒えることなく、以来、ゴルフはやっていません。
私の、バガー・ヴァンスは、今、どこにいるのでしょうか?

朝もや