杯(さかずき)の 月を飲み干す 長寿かな
                   薬王子 

杯に月を映して飲むと長寿が得られると教わりました。

冒頭の句は、「薬王子」という俳号を持つ杉本八郎先生が詠まれた一句です。
月には若返りの霊水があるという神話もあり、“百薬の長”の酒で飲めば、効果満点ですね。

春の花見酒、冬の雪見酒と並ぶ、秋の風物詩が月見酒、夏の間十分に寝かされた“ひやおろし”にもぴったりです。

月見うどん

一方、月見の風情をどんぶりの中に表現した料理に「月見うどん」があります。正統なレシピは、茹でたうどんを丼に入れ、叢雲(むらくも)やススキに見立てた海苔(とろろ昆布やワカメで代用可)を敷いてから、生卵を割り入れて、汁と薬味を添えるそうです。

とんねるずの“食わず嫌い”という番組があります。
私は、嫌いな食べ物は殆ど思いつきませんが、敢えて挙げれば、この“月見うどん”が駄目です。

卵は好きですし、うどんも蕎麦も好きです。美味しい汁は超大好きです。しかし、卵の黄身が汁に溶け込んだ、べっとり感が耐えられません。

生時代、身なりがみすばらしかった(着こなしが悪かった)せいか、良く貧しく可哀想な学生(たしかにそういう面はあったのですが)と認識されました。

授業料を納めに教務課の窓口に行ったら、お姉さんから「ごめんね。これだけはまけられないのよ」と言われます。

生協の食堂で、かけうどんを注文したのに、おばちゃんに、「よし、おまけだ!」と卵を丼に落とされたときは、唖然としました。黄身と汁が混ざらないよう、顔を突っ込んで黄身だけを必死に啜りました。

食わず嫌い個人の勝手として、食品アレルギーのある方こそ、本当に可哀想です。

カップケーキ

以前、年末の内科外来で青年が受診してきました。ナッツアレルギーで救急搬送され助けられた後の追跡検査でした。カルテをみると、前にも同様のエピソードがありました。

「ナッツは絶対駄目だと言われていたでしょ?」「やっと最近、彼女ができたんです。クリスマスイブにケーキを作ってくれて・・・見たら、上にちょこんとナッツが乗っていたんです。いけないと分かっていましたが、でも、これを食べなかったら、きっと振られてしまうと思い込んで、夢中で食べてしまいました」