「昨日は、有意義かつ楽しいひとときを過ごしました。
特に、3軒目の地ビールの店は美味しかったです。
その店では、先生の恋愛論を拝聴し、感銘を受けました」

若かりしころの飲み会で、先輩のドクターと病棟のナース主任が、すっかり酒が回り、「何てったってヨーロッパが最高!」と意気投合し、今度一緒にパリに行く約束を始めました。酔った席での空約束ですねと言ったら、そんなことはない、絶対行くと二人揃って言い張ります。

エッフェル塔

翌朝、約束の真偽を確かめようと、二人を探しましたが、上手く逃げ回られて、結局、もみ消されてしまいました。後年、酔った席での約束は、欠かせない盛り上がりのためのエンターテインメントであり、軽いタッチで忘れてあげることが“粋”とか“通”と気付きました。

自分もいつしか、酔えば必ずと言っていいほど、記憶が飛ぶようになりました。

池袋での治験責任医師勤務時代、ある製薬企業の教務担当の方から、新人スタッフ数名への研修を依頼されました。

 夕方、講義をした後、御礼ということで、彼や彼女たちが初月給を割いて企画してくれた、会食の席に同行しました。大いに飲み懇談し、勢いづいて今度はおごり返そうとカラオケで2次会・・・、そして、いい調子で帰宅しました。

ただ、カラオケのレシートに印字された時間の割には、帰宅時間がやけに遅く、財布の中身も何か妙に減っているのが不思議でした。

カラオケ館

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、冒頭に掲げたメールが、ほぼ同じ内容で続々と届きました。

もう一軒、行ったらしい・・・全く覚えていません。
第一、池袋には「美味しい地ビールの店」などないはずですが、皆をその幻の店に連れていきご馳走し、おまけに“恋愛論”をぶちまけて、泥酔して深夜遅く帰宅した・・・なるほど、これで辻褄が合います。

後日、この話を、かつての医局の後輩ドクターに話したら・・・、
「先生、翌日の会話では、必ず一軒足しておくんですよ。自分が2軒と思ったら3軒、3軒と思ったら4軒にしておけば、スムーズに運びますから」