札幌、滞在中です。
漂泊の詩人、石川啄木も、短期間ですが、札幌で暮らしたことがあります。

  札幌に かの秋われの持てゆきし しかして今も持てるかなしみ

  あたらしき心もとめて 名も知らぬ 街など今日もさまよひて来ぬ 

 

仕事においては、生涯、困窮の中、就活を余儀なくされました。

  こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ
  こころよき疲れなるかな 息もつかず 仕事をしたる後のこの疲れ

 

酒を詠んでも、哀歌が迸ります。

  いつも来る この酒肆(さかみせ)のかなしさよ ゆふ日赤赤と酒に射し入る
  あわれかの 国のはてにて酒のみき かなしみの澱(をり)を啜るごとくに
  コニャックの酔ひのあとなる やはらかき このかなしみのすずろなるかな

それでも、啄木の“酒と仕事”への思いは、歌集に綴られ不朽となりました。

立待岬函館山から津軽海峡につきでた立待岬、その坂の途中に、啄木の墓があり、墓碑には、歌集「一握の砂」に収められた、次の一句が刻まれています。

  東海の小島の礒の白砂に
  われ泣きぬれて
  蟹とたはむる