遺伝子多型解析について説明する際に、基礎として押さえておきたい方法がPCR(Polymerase Chain Reaction)です。

PCRについて説明する前にまず、PCRのポイントとなるDNAの大切な性質について説明します。 DNAは通常二重らせん構造で存在し、2本のDNAが対となりくっついています(二本鎖DNA)。
しかし、熱をかけるとこの二重らせん構造がほどけ、2本の1本鎖DNAになります。 これをDNAの変性といいます。 
逆に、熱で変性したDNAを冷やしていくと、再び2本鎖のDNAに戻ることが出来ます。DNAは熱によりくっついたり離れたりできるという特殊な性質を持っているのです。

DNAの特徴

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PCRはこのDNA 鎖の熱変性を利用し、相補鎖の複製を繰り返し行うことにより DNA を増幅する方法です。 

まず、増幅させたいDNA塩基配列の初めと終わりの部分で鋳型DNAとハイブリット形成する短いDNAプライマー作成します。
これを鋳型DNAと酵素(ポリメラーゼ)を含む反応溶液に添加し、サーマルサイクラーという自動で温度の上下をしてくれる装置でポリメラーゼに複製をさせます。
プライマーを端にしてDNAポリメラーゼが各DNA鎖を複製していきます。温度の上下を繰り返し、複製を繰り返すたびに、鋳型二本鎖DNAの2本の鎖が解離し別々に複製されます。

1回目の複製反応の概略を図にするとこんな感じです。

PCR1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このような複製反応が何回も繰り返されて、塩基配列の複製が多数作り出されます。

pcr2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PCRはきわめて鋭敏で、試料中に1分子しかないDNA塩基配列でも、検出することができるくらいに増やすことができるのです。
ただし、プライマーを設計して化学合成しなければならないので、PCRで増やすことのできるDNAは初めと終わりの部分の塩基配列が分かっているものに限られます。
良く配列が調べられているヒトなどにはとても有用な方法で、
よく科捜研のドラマなどで血痕から髪の毛から微量DNAを取り出して調べるというときにも使われています。

 

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