酒と仕事 (2)
1904年(明治37年)、羽織袴姿でボストンの街(画像)を闊歩する日本人4人連れに、ひとりの若者が声を掛けました。
What sort of’ ‘nese are you people?
Are you Chinese, or Japanese, or Javanise?
「おまえたちは何ニーズだ?チャイニーズか、ジャパニーズか、ジャヴァニーズ(ジャワ人)か?」
We are Japanese gentlemen. But what kind of ‘key are you?
Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?
「我々は日本人紳士だよ。ところで、あんたこそ何キーなんだい?ヤンキーか、
ドンキーか、それともモンキーか」
近代日本における美学研究(美術史、美術評論)の開拓者、岡倉天心です。
百年以上経た現在、欧米の後塵を拝し、英語のテレカンファレンスに辟易とする、医薬品開発の現場を眺めたら、天心は、どんな“喝”を入れてくれるでしょうか?
一緒に歩いていたのは、後に、日本美術史を彩る錚々たる弟子たちでした。
この中で、横山大観は、無類の酒好きとして知られています。
天性の飲兵衛ではなく、酒豪(日に2升)の師匠、岡倉天心より、「酒の一升くらい飲めずにどうする」と叱咤され、飲んでは吐きながら大成しました。
酒と肴(少量の野菜)だけで済ませて飯をほとんど口にせず、鯨飲の日々を過ごしながら、天寿(90歳)を全うしました。
好んで飲んでいた酒は、広島の『醉心』でした。