酒と仕事 (67)

験なき 物を思はずは 一坏の 濁れる酒を 飲むべくあるらし

大伴旅人

万葉集に編纂された「讚酒歌(さけをほむるうた)」十三首の最初の歌です。

「かいのない物思いなんかしないで、一杯の濁った酒を飲むべきであるらしい」

大伴旅人(おおとも の たびと)は、飛鳥時代から奈良時代にかけての公卿・歌人で、酒をこよなく愛した人物として知られています。「讚酒歌」が詠まれた背景には、大宰府の長官として赴任したものの、藤原氏の台頭による実質的な左遷ということもあり、鬱屈した思いも感じられます。

穀物を原料とした酒造りは奈良時代に中国から伝わったとされていますが、「濁れる酒」は米、米麹、水を発酵させ、もろみをこさずに作られた、いわゆる「どぶろく」です。

賢しみと 物言ふよりは 酒飲みて 酔ひ泣きするし 優りたるらし

(分別ありげに偉ぶったことを言うより、酒を飲んで酔ったり泣いたりする方が、ずっとましのようだ) 酒飲みにとっての、まさに応援歌ですね。

338: 験なきものを思はずは一杯の濁れる酒を飲むべくあるらし
339: 酒の名を聖と負ほせしいにしへの大き聖の言の宣しさ
340: いにしへの七の賢しき人たちも欲りせしものは酒にしあるらし
341: 賢しみと物言ふよりは酒飲みて酔ひ泣きするしまさりたるらし
342: 言はむすべ為むすべ知らず極まりて貴きものは酒にしあるらし
343: なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染みなむ
344: あな醜賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似む
345: 価なき宝といふとも一杯の濁れる酒にあにまさめやも
346: 夜光る玉といふとも酒飲みて心を遣るにあにしかめやも
347: 世間の遊びの道に楽しきは酔ひ泣きするにあるべくあるらし
348: この世にし楽しくあらば来む世には虫に鳥にも我れはなりなむ
349: 生ける者遂にも死ぬるものにあればこの世なる間は楽しくをあらな
350: 黙居りて賢しらするは酒飲みて酔ひ泣きするになほしかずけり

大宰帥(だざいのそち)大伴卿(おおともきょう)の酒(さけ)を讃(ほ)むる歌十三首

馴染みの酒バーに行ってきました。

日置桜から、純米生原酒「山眠る」、純米酒「くろぼく強力」の2本。後者の酒銘は「強力」を後世へ伝えたいという願いから。
重厚な酸と凝縮した米の旨みが広がる。山根酒造場は、因幡の国の最西端、日置郷と呼ばれる雪深い里に位置する蔵。米は完全契約栽培により、低農薬・減肥栽培で作られる。「醸(じょう)は農(のう)なり」が信条。(日本酒/完全バイブル p240)

酒の肴は、「薩摩赤鶏の漬け」「焼穴子の煮つけ」「刺身盛り合わせ」「蟹みそ」「白菜漬け」「ハムカツ」「白子のてんぷら」、締めは、「たらこのおにぎり」でした。

世に伯楽(はくらく)有り。然(しか)る後に千里の馬有り。
千里の馬は常に有れども、伯楽は常には有らず。
(世間に馬の良し悪しをよく見抜く人がいてこそ、千里も走る名馬というものがありうるのである。名馬はいつでもいるけれど、それを見抜く人はいつもいるとは限らない。)

出典:韓愈(かんゆ)・雑説(ざつせつ)・四首・其四

刷新的な「モノづくり」こそ“名馬”であり、それを見抜き支援する“伯楽”としての研鑽を積み、名馬を世に疾駆させたいと願っています。
トランスレーショナル・リサーチの壁は、やはり、ヒト臨床試験を如何に企画し、品質的に倫理的に高いレベルで実施するかという、ここの難しさにあると実感しています。相互にリスペクトし合えて、ベクトルを共有できる、ビジネス・パートナーたちとの出会いと協働が、不可欠です。